なんとなくわかる授業研究所　坪郷正徳著
学ぶ楽しさ再発見!教える楽しさ再発見!
ゆっくり学ぶ子どもたちのための算数
子どもたちはみんな,学ぶこと,成長することが大好きです。もしも目の前の子どもが,算数を学ぶことを苦しんでいたら,この本を読んでみてください。きっと新しい発見に出会えるはずです。

「はじめに」
　すべての子どもに数となかよくなってほしい。そんな思いを込めて,この本をまとめました。
　なかなか計算ができるようにならない〈ゆっくり学ぶ子どもたち〉の多くは,数と仲良くなれていません。数と仲良くならないまま,無理やり計算をつめこまれた結果,算数が大嫌いになってしまっている子どもたち。そんな子どもたちにたくさん出会ってきました。
　人はなんのために算数を学ぶのでしょうか?
　算数を学ぶ意義は,「人にほめられたい」とか「将来いい学校に入りたい」「テストでいい点数をとりたい」といった欲求を満たすことではありません。
　算数を学ぶ意義は,「物事を論理的に考える力を身につける」ことにあります。だからこそ,すべての子どもたちに,算数を学んでほしいと思っています。
　子どもたちはみんな,「学ぶこと」「成長すること」が大好きです。本来,「算数を学び」「論理的に考える力を身につけていくこと」は楽しくてしかたのない活動であるはずです。
　ゆっくり学ぶ子どもたちとの学習を楽しいものにできたとしたら,教育をとりまく景色はまったく違ったものになるにちがいない。そう信じています。
　この本がそのような一歩となれることを,そして,ゆっくり学ぶ子どもたちの笑顔につながることを夢見ています。