算数プラン〈比例の授業〉
●比例について
5年生から「簡単な場合について,比例の関係があることを知ること」が入ってきた。6年生でも比例については扱うので,5年生はその導入ということになる。
さて,10年一昔というなら三昔のこと,新居信正さんを追っかけ,新居さんが書いたものを探していて『比例の授業』 (遠山啓編, 1977年,国土社刊)にめぐり合った。この本は,比例の授業についてであったが,新居さんは,なんと「授業をどのように組織するか╶╴分数のわり算を例にして」とある。比例とまったく関係がない文章だった。共通点といえば,授業という部分だけである。今回,比例と心に決めたのは,この本の存在を思いだしたからである。
『比例の授業』という本は,絵本『ふしぎなきかい』を読んでから授業に入るというものだった。『ふしぎなきかい』が入った安野光雅著『はじめてであう すうがくの絵本2』(1982年,福音館刊)を使うことにした。
さて,絵本『ふしぎなきかい』は,ブラックボックスの仕組みを絵本にしたものである。また『比例の授業』は,当時の数教協で流行していた「ブラックボックス=BB」を使った授業の提案である。
板倉先生に学んだ「関数は函数と書いていたが,戦後,当用漢字にないために函数が関数になった」ということと,さらに「函数は,英語のfunctionの中国語訳」だということが授業研究のキッカケとなった。この函=はこが,ブラックボックス=ふしぎな機械とリンクするのである。
ところで,5年生ではχやyは扱っていない。このプランでは,χやyを使うようになっている。これは,導入時だからといって,やさしい□や○といった記号ではなく,一般的な記号を教えることにした。教え方によって子どもは,難しそうでも知って覚えてくれるのである。